「クルーズに乗りたいけど休みが取れない」そう思っていたある日、大阪の客船愛好家グループから一通の手紙が届いた。土曜発のワンナイトクルーズ募集の案内だ。乗船する船は「おりえんとびいなす」。鳥羽から横浜へ向かう片道乗船でお値段は19,800円!これなら時間もお金の問題もない。 後は、妊娠中の妻をどう説得するか?だが、本人から「真珠の土産」と取引条件が出された。そっちが高いじゃない?しかし、他に方法がある訳でもない。渋々条件を呑んで参加する事にした。

 


 「おりえんと びいなす」は石川島播磨重工が手塩にかけて建造した看板娘。船内はカリブ海で活躍する数々の客船を参考にしただけあって、今までのフェリーとは全然違う。煙突の周りにあるトップラウンジは270度景色を楽しむ事ができ、まるで飛行船の中のよう。メインラウンジはどの客席からでもステージが見られる様に、観客席に少し傾斜が付けられている。限られたスペースを有効に使わなきゃいけない船の中で、床を斜めにするのはとても贅沢なこと。それに、なんといってもエントランスの広さにびっくり。3層吹き抜けで開放感があふれている。前から一度乗客として乗船してみたいと思っていたが、遂に念願が叶った。


 鳥羽港は伊勢神宮や志摩スペイン村が近い。港の周りも日本一大きい鳥羽水族館や、真珠の歴史や真珠ができるまでの工程を紹介する「ミキモト真珠島」がある。沖には風光明媚な伊勢湾の島々が点在し、四季に合わせて島の色が変化する。実に素晴らしい!ゆっくり観光したいところだが、妻の厳しい表情が目に浮かぶとそうもしてられない。早々に約束の品を買い込み、船へと向かった。

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 夕方5時、船は舳先(へさき)をゆっくりと港外へ向けて動き出した。紅茶を飲みながら夕日の沈む鳥羽の港町を眺める。クルーズに乗船して「本当に良かった!」と思うひととき。空に星が見え始めたころ、船長主催のカクテルパーティーが始まる。船長自らマイクを持って乗組員を紹介。津田船長はお笑いのセンスも抜群で、そのユーモアたっぷりのトークにお客様も大爆笑。この後の司会もずっと船長にお願いしたいところだったが、船では神様の津田キャプテン。 パーティーが終わると早々に本職へ復帰してゆかれた。
  さて、パーティーが終わるとすぐにお食事。クルーズ船ではボケッとする時間が無い。しかも食事はフルコースなので、乗船前から待ち遠しく感じていた。今夜のっ食事はヒラメの薄造りに伊勢海老のポッシェ、鯛のフィレローストと、魚介類がコースに3品も入っている内容。ヴィーナスクルーズの名コック「飯田シェフ」の作品である。